“ももたろう”の代表を務める、沖津みや子です。“ももたろう”は、私の育った岡山を忘れないよう、初めてデイサービスを作った時からこの名前を使っています。

 “デイサービスももたろう”は、家族5人が住んでいた家屋を改装した、家庭的なデイサービスです。また、定員が計18名(平成28年4月から定員20名に増員)と少ないので、お友達や親戚の家に遊びに来た気持ちでいらして下さい。 我々スタッフも、わくわく ゆったり 楽しい1日をお過ごしいただけるように精いっぱいのおもてなしでお迎えいたします。

■ 『デイサービスももたろう』開所のきっかけ

guam

 今は亡き私の母は、平成17年3月に腸閉塞を患ってから、体力も気力もなくし、1日24時間の内21時間もの間、布団の中で横になって過ごしていました。そんな母を見て、孫である私の息子は言いました。

「うちのおばあちゃん、寝たきり老人なんだね。」

 腸閉塞が快方に向かった後も、そんな単調な日々を送っていました。平成17年12月、「最後の旅行」にせめて暖かい所へと、母をグアムに連れて行きました。
1日の殆どの時間を寝ている生活の母。3時間半ものフライトに耐えられるかが心配でした。しかし、さすが大正生まれ。困難や苦労を乗り越えて生きてきた母はこう言いました。

「ワイン飲んで、ご飯食べるとすぐ着くわ。」

 何事もなく、無事にグアム国際空港に到着しました。しかし、 グアムではドライブや海に行ったり、一日3回の食事にレストランへ行かなくてはいけません。若い孫のリードで、寝ているような暇も時間もありません。『置いていかれては困る…』と母も必死でついてきました。グアムで一番感激していた場所は、横井庄一さんが生活していらっしゃったという洞窟の展示でした。狭い洞窟を眺めては、「私も頑張らなくては…」と、しきりに言っていました。

 帰国後の変化には大変驚きました。毎日日記を付けはじめ、座る時間も長くなりました。昔、刺繍やパジャマを縫ってくれていたことを思い出し、「また趣味になるのでは」と、タオルと刺繍糸を用意しました。数日後、家中のタオルというタオル全部に、刺繍が入っていました。私はこの経験から、“老人だから” “90歳だから”といってあきらめないで、環境を整えてあげれば元気が出てくることを思い知りました。

 実は、岡山で一人暮らしをしていた母を東京に引き取ってから、市内のデイサービスやショートステイを何件も利用しました。少々難しい性格の母に合うような施設はなかなか無く、「もうあんな所へは行かない!」とへそを曲げ、家族を困らせる事もしばしば。同じように行き場のないご老人が困っているのではないかと考え、定年退職した夫と共に、母が満足するようなデイサービスを目指して模索が始まりました。お互い介護に何の関わりも無い仕事をしていたため、賛成してくれる声は少なかったのですが、今までにないデイサービスを目指すには好都合でした。そして平成18年8月、“デイサービス ももたろう”の最初のお客様として、母を迎え入れました。ちなみに、デイサービスのページに大きな写真で登場する女性が母です。

 「おばあちゃんの仕事は、毎日テレビを観ること」と決めつけないで、感動や楽しみがないか周囲を見回して下さい。むかし好きだった事や得意だった事は、今でもできるかもしれません。何かに打ち込むことができれば、きっと世界は変わります。


■ 『ケアももたろう』開設のきっかけ

 “デイサービスももたろう”が毎曜日、満員御礼が続くデイサービスになった頃、母はその盛況を見届けるようにして、老衰のため静かに亡くなりました。多少の物忘れこそあれ、認知症の様子は見られませんでした。晩年、母の在宅支援として訪問介護をお願いしていて、共に行う調理として包丁でサラダを調理してくれました。ひとりで包丁を持たせるのは難しいですが、ヘルパーさんとの調理は家族も安心でき、生活のハリにも繋がっていたようです。自宅での支援とデイサービスでの支援、その両方が上手く噛み合ってこそ、元気な在宅生活が維持できる秘訣と確信しました。

 そんな時、デイサービスに通っている一人暮らしの方からこんな話を聞きました。「私の家にお手伝いさんが来てくれているんだけど、いつも大きなバッグを持ってくるの。その日も大きなバッグを2個持ってきて、二階の掃除をしていたんだけど、後で行ってみたら毛皮のコートが無くなっていたの」と。認知症の診断もなく、しっかりとした方のお言葉です。このお手伝いさんとは、研修を何時間も受けた介護ヘルパーで、当然有資格者です。

 まさか盗んだとは思いませんが、この時感じました。介護認定を受けた方々のご自宅に訪問し、掃除や料理といった一般の家事を行ったり、身体介護で身の回りのお世話をすることは、単に作業をこなすだけではない事を。利用者様との何気ない会話の中から、体調や心境を察する能力こそが必要であり、家事や介護が出来れば誰でもできるような、簡単な仕事ではないと。

 お客様のご自宅に訪問するには、信頼関係が絶対に必要です。信頼関係を築ける能力があるスタッフを集め、誰しもが安心してひとり暮らしを送れるよう、訪問介護事業所 “ケア ももたろう” を開設しました。