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ももたろうでは、毎月 1 回外部の講師を招いて研修を行っています。8月『腰痛予防』、9月『認知症の理解』、10/7(月)『高齢者の消費生活トラブルを防ぐ』、10/22(火)『転倒予防』、11 月『接遇とコミュニケーション』を予定しています。スタッフだけで聞くのは勿体ない内容ですので、ご希望される方はどなたでも無料で招待いたします。お気軽にご参加下さい。 (17:30 ~ 19:30 於デイサービスももたろう)

こしかた ゆくみち

 私は、中仙道沿いの埼玉県本庄の米穀商に生まれました。旧制高等女学校を卒業し、和裁、洋裁、お花と習い、本庄信用組合に就職しました。父は、私が23歳の時に他界しました。自立すべく上京し、目黒区大岡山の長姉の家に身を寄せ、徒歩で行ける洗足にありました学習研究社(学研)に入社しました。姉の家の隣組にお世話をして下さる方がいらっしゃり、その御縁で結婚し、女児2人授かりました。35歳の時に「筆1本で一生続けられるもの」という気持から習字を習い始めました。
 主人は、52歳で胃がんのため他界してしまいました。その時、私は48歳。すぐに墓地を買い、生計を立てるべくオーケー製作所に職を得ました。しかし三回忌の法要を済ませた直後に、ひどい鬱になり、一人になるのが怖く、新しい事に何も手が付かなくなってしまいました。もう二人の娘も結婚していましたので、仕事の後は職場の前に住んでいらっしゃったご婦人の家でお話しをして、一息ついてから帰路についたものでした。
 そんな私を心配し、日本航空に勤めていた長女が気分転換にヨーロッパへ旅行しようと、どんどん予定を立て、初めての海外旅行に連れて行ってくれました。イタリアのフィレンツェにあるミケランジェロ作の切った首を掲げ持った彫刻を見るなり、鬱がすっと飛んでいってしまいました。イタリア・スイス・パリとめぐり、異国の壮大な景色に接するたびに、すっかり元気を取り戻し、以後病むこともなく今日にいたっております。
 65歳で退職した後も、海外へは短歌で知り合った3人の未亡人と合計12カ国、75歳になるまで毎年のように行きました。また、退職後には習字の教室も始め、60代は一番輝いていました。
 今は “ももたろう” に通う事が何よりの楽しみです。押絵もたくさん部屋に飾り、白い壁によく映え「画廊のよう」と一人思いつつ嬉しくなってしまいます。何かと娘は私のことを気遣い「老いては子に従え」で頼りきりです。“ももたろう” も娘が探してくれました。
 何より “ももたろう” が頼りでございます。“ももたろう” に通いつつ、現在も週一回の習字教室を自宅で続けております。嬉しいことに2人の生徒さんが師範になりました。