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今年は例年に無く大変暑い夏でしたが、“ももたろう”では適度な冷房と、こまめな水分補給で、一人も熱中症に罹らず皆様お元気に過ごされました。90歳の方は「ももたろうに来ていると、冷房代もかからずに楽しく過ごせて安心だわ」とニッコリ。酷暑以外にも各地で台風や地震の甚大な被害が出ています。皆さまの親戚の方々は大丈夫でしょうか。

光の射す方へ

 7月のある日、私の古い友人から電話がありました。彼女のお孫さんにあたる中学2年生の女子生徒、Sちゃんに8月の3日間、夏休みを利用して職場体験をさせて欲しいとのお願いでした。快諾して話を訊くと、小学校へは普通に通えていたS ちゃんでしたが、中学校に進学して暫くすると不登校になり、1年生は半分しか学校へ行けなかったそう。家に引き籠る日々、毎日毎日「死にたい。今日は死なないけど、明日には死にたい」と力なく口にしていたそう。「私はブスで、勉強も出来ない。生きていても仕方がない」と。高校生のお姉さんは、勉強はできるものの学習障害があり、S ちゃんや弟を敵とばかりに、毎日精神的な苦痛を与えていたのも、不登校になった一因だそう。S ちゃんの祖母である私の友人は、毎日Sちゃんの家に電車で通っては、家事やら見守りやら親身になって世話していたと聞きました。しかし、全盲の友人はS ちゃんの顔色や表情が分からず、どうして良いのか悩みに悩んでいたというのです。1年生の終わり頃、塾へ行ってみないかとの誘いにS ちゃんが応じ、次第に勉強が解るようになると、少し明るさが戻ってきそう。中学2年生になるとクラスの雰囲気も変わるため、また学校へ通えるまでになり、この度無事に夏休みを迎えることができた、と。職場体験を前に友人が心配していたのは「人付き合いが苦手なので、迷惑掛けないか心配」とのことでしたが、私からS ちゃんへは「挨拶は大きな声で!」と言う事だけを伝えました。1日目はあまり笑顔もなく過ごしている印象でしたが、2日目からは1日の流れが解ってきたのか「沖津さん、次は何をしましょうか?」と積極的に仕事をしてくれました。とても素敵な笑顔で利用者様と関わっている姿を見て、不登校や心に闇を抱えていたのが信じられないほどでした。先日、Sちゃんからお礼の手紙が届きました。
 友人からも「迷惑をかけたのではと?」メールが来たので、「よく気が付き、楽しそうに過ごしていましたよ。褒めてあげて下さい」と返信しました。友人曰く「多分今年の夏休みが人生で一番充実した日々になったと思う。わずか3日間の職場体験は、一生の思い出になった。夏期講習にも通えていて、数は少ないが友人も出来た。先日は遊びにも出掛けて行った。何より自分に自信が出たのか、将来の事を口にするようになった」と。「また“ももたろう”に行きたい」と語ってくれているS ちゃんの夢は、『看護師さんになりたいかな』。